新型コロナウイルスによる外出自粛に追い打ちをかけるように、薬剤師の採用にも自粛ムードがただよっています。
新型コロナウイルス感染への不安のため、クリニック(病院)の受診控えや処方日数の延長があり、薬局の経営も悪化しているからです。
かろうじて、正社員薬剤師の雇用は守られている感がありますが、派遣薬剤師・パート薬剤師などの非正規雇用者は散々な状況です。
実際、私のいた薬局においても「パート薬剤師の時間は大幅にカット」され、転職先の薬局でも「派遣薬剤師の契約は終了」しました。
withコロナでの転職がいかに厳しいか。
コロナ禍(ころなか)にも関わらず、うっかり退職&転職をしてしまった私の主観ととも解説いたします。
空気がよどみましたが、気持ちを切り替えて始めましょう!
薬局は減収で瀕死状態
まず、こちらの資料をご覧ください。
出典:日本薬剤師会「新型コロナウイルス感染症による薬局経営の影響について」
緊急事態宣言(2020年4月25日から5月25日)の影響をもろに受けた5月はこのとおりです。
- 処方箋受付回数:-26.5%
- 調剤報酬:-14.0%
- 技術料:-21.6%
- 薬材料等:-11.5%
調剤報酬の減収も痛いですが、技術料の減収の方が薬局経営においてより痛いかはあなたもご存知かと思います。
それが2割も落ち込んでいるのです。

患者数においては、体感で2・3割減を感じるね。
100万円の技術料が80万円になってしまっては、薬局サイドも人件費の支払いに苦労しないなずがありませんよね。
さらに、出口(新型コロナウイルスが鎮まるとき)はまだまだ見えません。
これが大義名分となり、人件費を削減するためにパート薬剤師の勤務時間が削られ、派遣薬剤師は契約終了となり、正社員の賞与も減額となっているのです。
ちなみに、私の退職金はいまだに支払われていません。
催促の末、退職3カ月後にようやく支払われました。

ふぅぅ。手こずったぜ!
関連記事 生きやすさ激変!薬剤師がワークライフバランス重視で転職すると
薬剤師紹介会社のウラ事情
アプロ・ドットコム・ファルマスタッフ
など、薬剤師紹介会社のサイトをのぞいてみてください。
すると、予想に反して多くの求人があることに気づくはずです。
出典:ファルマスタッフ
ただ、登録してみればわかるのですが、これらの求人情報が絶えず稼働中かといえば、そうではありません。
薬剤師紹介会社のエージェントが採用担当者に確認して、実際に募集中であるかどうかが初めて明らかになるのです。
つまり、上記のような「未経験者でも年収500万円~600万円」という比較的いい案件は、現在募集中とは限らないのです。
関連記事 今度こそ!というあなたへ 3分で分かる40代薬剤師の転職戦略
コロナ禍の薬剤師の転職事情
さて、ここからが本題です。
新型コロナウイルス感染症の影響により、薬剤師の転職市場は氷河期の真っただ中です。
正社員薬剤師の転職事情
コロナ禍においては、正社員希望の薬剤師が、転職活動を始めて1.2カ月で希望に合う薬局が見つかるという状況ではありません。
都市部(首都圏主要地区、京阪神主要地区、名古屋圏主要地区)を中心に、採用条件(年収・時間・勤務エリアなど)が厳しくなっています。
例えば、コロナ以前であれば年収550万円まで検討できたけれど、500万円でいいならどうぞ。といった感じで、採用担当者が強気なのです。

裏を返せば、田舎だったら好待遇案件もあるよ。
新型コロナウイルスが収束する気配がないため、収益がV字回復するタイミングが不明瞭です。致し方ありません。
パート薬剤師の転職事情
コロナ禍においては、ママさん薬剤師(パート薬剤師)特有の「午前だけ勤務希望」「18時まで勤務希望」という条件が通りづらくなっています。
なぜなら、コロナ以前から「午前だけ勤務希望」「18時まで勤務希望」で働いていらっしゃるパート薬剤師がいるため、融通の利かないママさん薬剤師を増員する必要がないからです。
採用担当者のホンネはこうなのです。

朝は人が潤っているから、夜に来てもらわないとね。
派遣薬剤師の転職事情
コロナ禍において、最も悲惨なのが派遣薬剤師です。
なぜでしょうか?
理由はひとつ。実質的に支払う人件費が高すぎるからです。

実質的に支払う人件費って?

派遣薬剤師の時給が3000円だったなら、3000円を派遣薬剤師に支払えばいいって思ってないかい?

違うの?

派遣薬剤師の時給が3000円だったなら、別に1時間当たり約1000円薬剤師紹介会社に支払う必要があるので、が実質的に支払う人件費は4000円となるね。

月に170時間勤務なら68万円!!!

キツイでしょ?
このように、派遣薬剤師は管理薬剤師の人件費を凌駕します。
コロナ禍で管理薬剤師の募集年収も相対的に下がっていますので、あえて人件費の高い派遣薬剤師を使う理由がないのです。
ただ、「月に30時間程度のスポット勤務でOK!」のような派遣薬剤師は重宝される傾向があります。
アプロ・ドットコムは短期バイト・派遣に強いですよ。
コロナ禍では、そのようなスポット勤務を複数受けるという勤務スタイルが出来上がりつつあります。
関連記事 勝ち組だけが知っている!複数の薬剤師紹介会社に登録するメリット
コロナ禍の薬剤師転職事情
このように、新型コロナウイルス感染症の影響により、薬剤師の転職市場は氷河期の真っただ中です。
何も考えずにうっかり退職し、悲惨な条件で転職する羽目になっては後の祭りです。
コロナ禍においては、転職先を決めずに退職すると茨の道が待っています。
複数の薬剤師紹介会社に登録して、あなたにできる転職条件を確認してから退職をすべきだと思いませんか?